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前回、超音波望遠鏡を取り上げたので、今回は超音波顕微鏡の研究の話。
当時、我々は、プラスチックフィルムを超音波振動子(トランスデューサー)に適用し、非常に広帯域の振動子を作っていた。 この振動子はそれまでのセラミックスの振動子とは、まったく違ったもので、広い周波数に応答できる。そして、この振動子から発信される超音波は、一波のサイン波のみを出すことができる。 つまり、セラミックスの振動子は、例えばガラスコップを箸でたたいたときに、『びぃーん、びぃーん、びぃーん、……』と響くのと同じように、残響する。 これに対して、我々の作ったプラスチックの振動子は、『びん』とだけ、音を出し、残響しない。 このプラスチック振動子を超音波顕微鏡に応用すると、きれいな画像が得られるはずだと考えた。 しかし、我々には、高周波電子回路を取り扱う装置と画像を書く装置がない。 あるのは、振動子のみなのだ。 そこで、企業の助けを借りることにした。 当時、O社、K社、H社の3つの会社がこれらの技術を持っていた。 どこに、アタックするか。 まず、規模の小さな会社からアタックすることにした。小さな会社なら、我々の話を真面目に聞いてくれるかもしれないと考えたからだ。 豊橋にある従業員数が80人の会社にお邪魔した。 社長が会ってくれた。(第1段階を突破) どきどきしながら、プラスチック振動子を使った送受信の波形の写真を見せて、「それを超音波顕微鏡に適用したい。従来の超音波顕微鏡に較べてはるかに鮮明な顕微鏡ができるはずなので、協力していただきたい」と社長にお願いした。 当時の社長は、じっーと、我々の波形の写真を見て、話を聞いてくれた。 しばらくして、社長が口を開いた。 「目から鱗です。協力します。何をすればよいですか」と。 心の中では、『やった』と叫んだが、冷静に、冷静にと言い聞かせて、 「高周波電子回路の製作と、画像をつくる装置の製作です。それに、プラスチック振動子関連の研究費」 「分かりました。で、いくらですか」 「年間800万円で、3年間」 「わかりました」 1社目で、こちらの計画がすべて受け入れられた。 安堵するとどうじに、体中の力が抜けた。 やがて、研究が始まり、プラスチック振動子を使った超音波顕微鏡画像を最初に撮ったときには、非常に興奮した。 そして、それらの成果を高分子学会、超音波エレクトロニクス学会、超音波画像学会、超音波医学会などで発表し、好評を得て、H社が事業化した。 しかし、超音波顕微鏡も商品としてはあまり売れなかった。 もちろん、この技術は、超音波画像診断装置や超音波探傷映像装置などの開発に応用されている。
by yuyz
| 2008-12-01 07:12
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