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月刊誌、「未来材料」の八月号に書いた巻頭言をブログに転載したいとお願いしたところ、快く許可をいただいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 学生の頃、木の葉の葉脈やへりの「形」、地図上の海岸線の「形」に興味を持ったことがある。「形」が美しく、どうしてこんな形になるのか、規則性はどうなっているのだろうかと思いながら、ずっと眺めていても飽きなかった。 植物、特に広葉樹の葉は、なるべく多くの光を受けられるように薄くて広い面積を持ち、それを支えるためと水分の供給用に葉脈がある。この必然によって、形の規則性が決まってくるのだろう。機能が形を作っている。 海岸線は、陸地の岩や土の成分に分布があり、それが川水、海水、風などによって浸食されてできる。言い換えると、材料自身の成分分布の一部が、形として表面に現れ、それが地図上では海岸線となる。その形により、港ができたり、海水浴場になったりして、人間が有効利用している。もちろん海の生物たちの生きる場ともなる。形が機能を作り出しているとも言える。 葉は、機能が形を作るといえるが、芽吹いたばかりの小さな葉も大きくなった葉と同じ(相似)形をしている。DNAによって、形が決まっている。葉がだんだん大きくなっていく様子を現象面から見ると、成長とともに「流す」、「形にする」、「固める」の過程を無限回繰り返しているはずだ。自然界では、植物、動物などほとんどの生物は、成長とともに形を作っている。そして、成形加工と同様な過程を経ている。 自然界では、非生物の海岸線や川、谷のように初期の大枠の形を作った後に、「流す」プロセスを経ずに「形」を浮き出させるものがある。一方、山のように、(緩慢なものも爆発的なものもあるが)地殻の動き(「流す」)を経て、「形」をつくり、「固」まってできるものもある。 我々は、製品を造るときに、内部構造の「形」や外側の「形」に関して、自然界のものを模倣して造ることが多い。自然に学ぼうとしている。合成繊維は天然繊維の内部構造の形を模倣し、飛行機は鳥の形を模倣している。形の模倣によって、自然界と同様な機能を実現しようとしているのである。 ところで、「形を作るプロセス」における模倣はどうであろうか。 成形品の内部構造についても、自然界をお手本にしている例が多い。たとえば、ポリプロピレンなどの射出成形品は、スキンとコアー構造をとる。具体的には、金型に接する成形品の表面近くは急冷により微細な球晶構造あるいは配向構造をとり、スキン層を形成しているのに対して、成形品の内部は徐冷条件のため比較的大きな球晶となっていてこれがコアー構造となる。ものが造られる過程で自動的に内部構造が決められていく。 ところが、成形品の外形(形状輪郭)を上記のように自己組織化で作っている例は少ない。材料にあらかじめ何らかの仕組みを入れ込んでおいて、自己組織化で葉のような形を作る。こういった方法を取れる材料作りが、未来のプラスチック成形加工の一つの課題だと思う。 海岸線に近い方法で形づくりをしている例としては、合成皮革に使われている超極細繊維がある。2つの成分を口金という「型」を使って紡糸し、一方の成分を溶かして取り出すか、2つの成分を分離して使うという工程をとる。 山に相当する「形つくり」はプラスチック成形加工では普通である。車のバンパーでも、シャンプーの容器でも、「流す」、「形にする」、「固める」を一回の一連のプロセスとして成形している。 ただし、山の形つくりとプラスチックスの形つくりとの大きな違いは、「型」の有る無しである。 自然界の形つくりでは、葉の場合や海岸線の場合に置いても「型」を使うことはない。「型」を使うのは、人間の特徴かもしれない。「型」に材料を流して、「型」にそって形をつくり、「型」の形に固める。現時点で人がやる作業や考え方には「型」が重要のようだ。それを超えたとき、ものつくりは大きな変革を遂げることだろう。
by yuyz
| 2007-08-20 23:50
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