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ヒースロー空港に着き、フレデリコとの待ち合わせ場所に行こうとすると
「プロフェッサー・コヤマ」という声が後ろから聞こえた。 振り向くと、フレデリコがいた。チリから飛んできた彼は、4時間前に、ヒースロー空港に着いていたそうだ。 久しぶりの再会だ。 リーズ行きの飛行機の離陸時刻まで、5時間ぐらい余裕があった。 「ひょっとしたら、予定より一本早い飛行機があるかもしれない」とフレデリコに言ったら、彼も乗って 「レッツゴー」。第3ターミナルから第1ターミナルへ走った。 チェックインカウンターで予約番号を言い、 「一本早いのは無いか」と聞くと、飛行機会社の女性職員は 「あなたの予約している飛行機が一番早い飛行機だ」という。簡単にあしらわれた。 そこで、フランス人のフレデリコの登場。 「一本早いのがあるはずだ。ぺらぺらぺらぺらぺら………」とまくし立てた。 フランス人はクレイムが得意とのこと。 最後に彼女は、根負けし、電話を取って、 「目の前のジェントルマンがどうしてもあなたの飛行機に乗りたいという。乗せてやってくれ」と交渉が始まった。 途中で理由を聞かれたらしく、何回も 「アイドンノー」を繰り返していた。そして、最後に 「ラブリー」。 やった。イギリス人がこの言葉を発するときはうまくいったときだ。 時間を見るとすでにその飛行機が離陸する時間。 「エー。本当に間に合うのかな」 そこから、また荷物をもって、搭乗口へ走った。遠い。しばらく走ると、荷物の検査場。長蛇の列。 そこで、またまたフランス人の出番。フレデリコは、切符を職員の人に見せて、 「俺たちは、急がなければならないのだ」 職員の人は、気圧されたように一番前に連れて行ってくれた。 鞄からパソコンを出し、財布や時計とシャンプーなどをトレイに入れ、検査機へ。 うまく通り抜けて、また走る。 なんと、我々の搭乗口は一番遠いところにあった。 もう、出発の時間を20分も過ぎている。 でも、飛行機と乗務員とお客さんは悠然と待っていて我々を乗せてくれ、リーズ空港まで運んでくれた。 空港からタクシーで、ホテルに行き、すぐに夕食に街に出た。 フレデリコがとっておきのレストランに連れて行ってくれた。ワインがうまかった。 そこで、彼は小生に問う。 「俺は何をすれば良いのか」 そうか、彼に今回の役割を説明していなかったのか。 それを知らずに、チリからわざわざ駆けつけてくれたのか。 「何という人だ」と、小生に責めがあるにもかかわらず、あきれると同時に感心してしまった。 武士道を心得たフランス人だ。 自分の役割が何かが分からなくても、小生のために一週間あまりつきあってくれる。しかも、チリからはるばるととんできてくれた。 なんとありがたいことか、『もつべきものは友だ』と感じ入った。 小生もしばし考えたが、武士をきどって、 「まあ、俺につきあえ」としか言わなかった。
by yuyz
| 2009-03-05 22:44
| 出張
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