『必死剣鳥刺し』の映画を見た。
藤沢周平さんの小説を忠実に映画化したものだ。特に、せりふなどは小説と全く同じ。
しかし、映画を見終わった後の感じは、小説を読んだ後の感じとまったく異なっていた。
小説は短編で、読後は温かみが残る良い作品だ。
それに対して、映画はイヤーな気持ちが残った。
なぜだろう。ストーリーやせりふはほとんど同じなのに。
主人公の兼見三左エ衛門と里尾は、映画と小説で同じ印象を与えてくれ、豊川悦司と池脇千鶴は上手く演じていた。
別家の描き方が小説と映画では少し違った。これが全体の印象に影響しているように思う。
大きく違うのは、雨のシーン。小説では無い。映画では、海坂藩では考えられないような強烈な雨が、メインテーマ的に使われている。
一番大きく違うのは、斬り合いのシーン。小説では、嫌みが無い。しかし、映画では、大げさで、これでもか、これでもかとスクリーンに『血』を映し出していた。どぎつ過ぎる。
これでは、藤沢作品のイメージが壊れてしまう。