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先日、優秀な研究者からいただいた名刺を見ると、肩書きが『助教授』。
「今、助教授という肩書きは無いですよ。准教授じゃないの?」と無神経なことを言ってしまった。 彼は、『助教授』の『助』が取れる日を意識してあえてそう書いていたらしい。 小生が36才、助手のとき、一才年上の同僚が教授に昇任した。 その同僚に「教授になると何か良いことがありますか」と聞いた。 当時は、小講座制で、教授、助教授、助手の3人が1つの講座を作っていた。教授が定年(65才)になると、助教授が教授になり、助手が助教授になるのが普通だった。 小生の講座は、教授が20才年上の56才、助教授が7才年上の43才。つまり、小生は22年後の、58才にならないと教授にはなれない。したがって、はなから、教授になろうなどという考えは頭の中になかった。 それで、前述のような質問をしたのだ。 同僚の答は 「良いことばかりだよ」 「給料が上がるの?」 「給料はあまり上がらない」 「では、何が良いの?」 「一般の人から、尊敬される」 「そんなもんかな」 「共同研究などをするときに、相手の待遇が違う」 「そんなもんかな」と、そのときは終わった。 その後、小生は39才で助教授になり(当時は人事が複雑になり始めていた)、 6年後、42才になったとき、当時の学科長が突然小生の部屋を訪ねてきて、 「小山さんを他の講座の教授にする。良いですね」という。 小生は狐につままれたような気分になり、 「先生、それは無理ですよ。学科の中で私より年下の助教授はいません。助手の人でも、多くの人は私より年上です」と言いつのった。 「いや、小山さんを教授にするから」と、温厚な学科長は言い切った。 しばらくして、本当に教授に昇任したとき、嬉しい気持ちよりは何となく空しくなった。 一回り年下の友人に、「私の心臓の中に気泡ができたよ」とつぶやいた。 友人はときどき、このことをコメントして小生に思い出させる。 この意味は、 「教授になることを目的として頑張ってきて、ようやく教授になれたとき、目的を見失い、放心状態になって、何をするにも力が入らない」 である。 自分では、58才まで教授になれないと思っていた。だから、教授になること自体を頭から消し去っていたはずなのに、心のどこかの奥底で、教授になりたいと思っていたらしいことが分かった。 「教授になれば、クビにはならないし、誰にも命令されることがない。悠々自適で、少しの授業と、自分の好きな研究だけをしていればよい」という思いが、時折よぎっていたのである。当時は、そういう時代で、まわりの教授の人たちはそうしているように見えた。 『教授』であることに対して過敏でなくなるのには、かなりの日数がかかった。 やがて、気持ちの中では、教授であることが普通になった。 その後、同僚の昇任人事が出るたびに、昇任できない人のことを思って辛かったが、いつしか日常の中で、人の昇任に関する興味はだんだん薄くなっていた。 今回、『助教授』の名刺を見たときに、久々に、『教授昇任への心』を痛烈に感じた。
by yuyz
| 2009-10-05 05:11
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