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山形大学職員の津田さんが「電子ジャーナル問題でいい話があります」と言って、論文を見せてくれた。
日本化学会所属の林和弘氏が書いた「日本のオープンアクセス出版活動の動向解析」。 オープンアクセスは、インターネットを通して、論文を誰でも無料で読めるシステムである。これが進めば、図書館の電子ジャーナル経費が大きく節約できる。 林氏は、化学会での電子ジャーナル出版の経験から興味ある結果を報告している。 彼らは、研究者が論文を投稿するときに、オープンアクセス可/不可を選択させるようにしている。 論文のダウンロード数や被引用数が、オープンアクセス可を選択することによって、増えているデータを示した。 つまり、自由に読んでもらう環境を整えることによって、他の研究者達が良く読んでくれて、多くの引用もしてくれるようになるとのこと。 さらに、林氏によると、欧米の論文誌出版活動での過度の商業主義が電子ジャーナルの高騰化問題を起こし、オープンアクセス化の声がでてきたが、利益を出さなければならない故に、オープンアクセス化が発展しにくいとのこと。それに対して、日本での論文誌出版活動は、ボランティア活動が中心で、商業性が少ない。そんな日本だから、電子ジャーナルのオープン化をすすめるには好条件である。 なるほどと思った。 欧米の商業誌は、お金をかけて、至れり尽くせりの論文誌出版活動で、できあがった論文もきれいだ。したがって、研究者はついつい欧米の商業誌に論文を発表することとなった。その結果、購入経費が高くなって、研究者が論文を読む環境が悪くなっている。 日本では、主に学会系だが、論文誌出版活動にお金をなるべくかけない。したがって、できあがった論文は必ずしもきれいではない。いきおい、投稿論文数が少なくなる。そして、多くの研究者達にあまり読まれなくなる。今、この欠点を逆手にとって、日本では、電子ジャーナルのオープンアクセス化を、スムーズに進められるとのこと。 この考えを普及したいものだ。
by yuyz
| 2009-07-12 07:40
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